醤油の元となる諸味(モロミ)を人口的に温度管理すれば短期間で生醤油ができますが、当蔵は、杉の大桶で約2年以上寝かせ、あくまで自然のまま発酵、熟成させています。創業から100有余年。今では貴重となったこの木桶仕込をかたくなに守り続けています。
仕込蔵の中には小窓から光が差し込みます。木桶とともに天井には、醤油づくりには欠かせない生きた微生物が住み着いています。これが当蔵の醤油の味や香りの特徴を作り出しています。
醤油の元となるモロミは、夏場には発酵によって、プツプツと声をあげます。朝起きると、仕込み蔵に入って、このモロミの声を聞くことが先代からの教え。我が子のように、丁寧に声を聞いて菌を大切に育てて行きます。
木桶から熟成したモロミを取り出し、ふろしき状のろ布に入れ4方をたたみ込み天布をして、昔ながらの湯槽の形(通称「舟」)をした圧搾機に積み重ねます。時間をかけてゆっくりと長い時間をかけて搾ることににより雑味の無いすっきりとした味わいの醤油になります。
蒸した大豆と、煎ってくだいた小麦に種麹をまぜ、素早く室(むろ)に投入。3日目に麹が出来るまでが最も緊張する工程。室の中の温度・湿度管理をはじめ、麹造りは常に真剣勝負です。